トラブルシューティング

以下では、WinSCP 6.5 を利用する際によく起こりがちなトラブルの原因と、その対処法について解説します。接続エラーやパーミッションエラー、転送速度の問題など、実務や日常の運用で知っておくと役立つ情報をまとめました。

1. 接続エラー別の原因と解決策
2. ファイル転送における権限・パーミッションエラーへの対処
3. アップロード/ダウンロード速度が遅い時の原因調査と改善策
4. まとめ


1. 接続エラー別の原因と解決策

WinSCPを使ってサーバーに接続しようとしたとき、下記のようなエラーメッセージが表示されることがあります。エラー内容に応じて対処方法を整理しましょう。

1.1 Network error: Connection refused

  • 発生原因
    1. サーバーがダウンしている、またはサーバープロセスが起動していない。
    2. ポート番号が誤っている(例:SFTPなのにFTPの21番を指定しているなど)。
    3. ファイアウォールやセキュリティ設定により接続が遮断されている。
  • 対処策
    • サーバー管理者に問い合わせ、SSH/SFTPサービスが稼働中か確認。
    • WinSCPの「ホスト名」「ポート番号」を再チェックし、SFTPならポート22が一般的(例外があるのでサーバー設定に合わせる)。
    • 自分のPCや会社のネットワークでファイアウォールによるブロックがないか調査し、必要に応じて例外設定を行う。

1.2 Authentication failed

  • 発生原因
    1. ユーザー名やパスワードが間違っている。
    2. 公開鍵認証を導入しているサーバーなのに、鍵の設定が誤っている(あるいは鍵が未登録)。
    3. サーバー側で該当ユーザーの接続が許可されていない(設定ファイルの制限など)。
  • 対処策
    • ユーザー名・パスワードを再度入力し直す。
    • SSH鍵を使っている場合は、WinSCPで秘密鍵(.ppk)のパスが正しいか確認。
    • サーバー管理者に問い合わせ、アカウント設定やSSH設定 (/etc/ssh/sshd_config など) を点検してもらう。

1.3 Host does not exist

  • 発生原因
    1. 入力したホスト名(例:example.com)が間違っているか、DNS設定が誤っている。
    2. ネットワークが遮断されていて、サーバー自体に到達できない。
  • 対処策
    • Webブラウザなどで example.com にアクセスしてみて、ホストが正しく解決できるかテスト。
    • コマンドプロンプトやターミナルで ping example.com を試し、応答があるか確認。
    • 一時的なDNS障害やネットワーク障害であれば、時間をおいて再接続する。

1.4 Timeout detected

  • 発生原因
    1. サーバーの応答が遅すぎる、または無応答でタイムアウトが発生。
    2. 大容量ファイル転送中に回線が切断された。
    3. ファイアウォールによるアイドルタイム制限などがかかっている。
  • 対処策
    • ネットワークの状態を確認(他のサイトも遅い場合はネットワーク全体の問題)。
    • WinSCPの「タイムアウト時間」の設定を少し長めにする。
    • 大容量ファイルの場合、分割してアップロードするか、回線が安定している時間帯を選ぶ。

2. ファイル転送における権限・パーミッションエラーへの対処

2.1 Permission denied

  • 発生原因
    1. サーバー上のディレクトリに書き込み権限がない(パーミッション不足)。
    2. ログインユーザー(SFTPユーザーなど)が本来想定されていないディレクトリにアクセスしようとしている。
    3. ファイル・ディレクトリの所有者やグループの設定が誤っている。
  • 対処策
    • WinSCP上でパーミッションを確認し、rw-r--r-- (644) など書き込み権限があるかチェック。ディレクトリなら rwxr-xr-x (755) など。
    • サーバー管理者またはrootユーザーに頼んで所有者やグループを正しく設定してもらう(例:chown -R user:user /var/www/html/)。
    • 共用サーバーの場合、提供元のドキュメントを確認し、アップロード可能なフォルダを使っているか再チェックする。

2.2 Disk quota exceeded

  • 発生原因
    • レンタルサーバーやVPSでディスク容量やユーザーごとのクォータが上限に達しているため、書き込みが制限される。
  • 対処策
    • 不要なファイル・ログなどを削除して空き容量を確保。
    • サーバー管理者に依頼し、ディスク容量やクォータを拡張してもらう。

2.3 書き込みはできるが実行権限がなく正常に動作しない

  • 発生原因
    • CGIスクリプトやシェルスクリプトに実行権限 (x) が付与されていない。
    • PHPなどのファイルでは実行権限自体は不要(644でOK)だが、ディレクトリに正しい権限が設定されていないと動作しない場合がある。
  • 対処策
    • CGIを使うなら chmod 755 script.cgi のように実行権限を付与。
    • ディレクトリに 755 以上の権限を確保し、かつオーナーが正しいユーザーになっているか確認。

3. アップロード/ダウンロード速度が遅い時の原因調査と改善策

WinSCPを使ってファイルを転送する際、速度が極端に遅くなる場合があります。主な原因と対処法を見ていきましょう。

3.1 ネットワーク環境の問題

  1. 回線速度や混雑
    • 自宅やオフィスの回線が混み合っている時間帯(夕方~夜)に大容量ファイルを転送すると遅くなりがち。
    • 回線速度を測定するサイト(Speedtestなど)で状況をチェック。
  2. VPN接続の影響
    • 会社やクラウドVPNを経由していると、暗号化オーバーヘッドやサーバー負荷でスピードが落ちることがあります。
    • 必要に応じて直回線での転送を検討するか、VPN設定の見直しを行う。
  3. ファイアウォールの設定
    • 深いパケット検査をしている環境では速度低下が顕著になる場合がある。
    • 管理者と相談し、必要なプロトコル(SFTP/FTP)を優先度高く通す設定ができるか検討する。

3.2 サーバー負荷・設定の問題

  1. サーバーの負荷
    • 接続先サーバーが高負荷状態(CPU/メモリが逼迫)だと、SFTP応答が遅くなる。
    • 運営元にサーバー負荷状況を問い合わせ、ダウンロードの時間帯をずらすなど対応する。
  2. 帯域制限
    • レンタルサーバーや一部のクラウドサービスでは、利用プランごとに転送速度の上限が設定されている場合がある。
    • プランのアップグレードやオプションで速度制限が緩和されることも多い。
  3. 転送プロトコルの選択
    • SFTPやSCPを使っている場合、暗号化のオーバーヘッドがFTPより若干大きい傾向があります。
    • セキュリティと速度のバランスを考慮する必要がありますが、どうしても速度が優先という場合に限り、FTPS(暗号化FTP)なども検討してみる手があります。

3.3 WinSCPの転送設定を見直す

  1. 転送モード(Auto/Binary/ASCII)
    • 通常は「Auto」で問題ありませんが、非常に多くの小ファイルを転送する際は、「Binary」に固定してオーバーヘッドを減らすケースもあります。
  2. 同時接続数
    • WinSCPの設定(転送設定)で「同時転送数」を増やすと、並列で複数ファイルを送れる場合があります。
    • ただしサーバー側の制限で同時接続数に上限がある場合もあるので注意。
  3. 再試行・レジューム機能
    • 大容量ファイルの転送中に接続が一時的に途切れやすい環境では、再試行(Retries)やレジューム機能を有効にして、最終的な成功率を高める。

4. まとめ

  1. 接続エラーの対処
    • 「Connection refused」「Authentication failed」などエラー内容をよく確認し、ポート設定やサーバー稼働状況をチェックする。
    • ホスト名やDNS設定、ファイアウォール・VPNの影響にも留意する。
  2. 権限・パーミッションエラー
    • 「Permission denied」「Disk quota exceeded」などは、ディレクトリの所有者やパーミッション設定、ディスク容量を確認。
    • 共用サーバーの場合はサーバー提供元のルールに従い、割り当て領域を超過していないか要確認。
  3. 転送速度の問題
    • ネットワーク環境(回線混雑、ファイアウォール、VPN)、サーバー側の負荷や帯域制限に影響される。
    • WinSCP内の転送設定や同時接続数も調整し、必要に応じてFTP/FTPSへの切り替えも検討する。

これらのトラブルシューティングのポイントを押さえておけば、いざというときにも速やかに原因を切り分け、適切に対処できるようになります。特に権限設定やネットワーク関連の問題は頻発しやすいため、基本的な対処手順を習得しておくと安心です。

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