大容量ファイルの扱い:Resume機能・時間帯・分割アップロードの最適化

共用レンタルサーバーで数百MB~数GB規模の大容量ファイルを転送する際の失敗リスクを最小化し、作業効率を最大化するテクニックをまとめました。FTPクライアントのResume(再開)機能タイムアウト設定分割アップロード最適な時間帯の選定など、実務で即役立つノウハウを詳しく解説します。


目次

  1. 大容量ファイル転送の課題
  2. Resume(再開)機能の活用
  3. タイムアウト設定と同時転送数
  4. 分割アップロードの手法
  5. 圧縮&サーバー側解凍のポイント
  6. 転送に適した時間帯の選定
  7. 自動化スクリプトで定期転送
  8. 各FTPクライアントでの設定例
  9. まとめ

1. 大容量ファイル転送の課題

  • 途中切断:ネットワーク不安定やサーバーのアイドルタイム制限で、転送中に接続が切れる。
  • 再アップロードの手間:容量が大きいほど、最初からやり直すのは時間と回線帯域の無駄。
  • サーバー負荷:大量の小ファイルや一度に大量データを送信すると、共用サーバー側でリソース制限に引っかかる場合がある。

これらを防ぐには、再開機能を備えたFTPクライアントを使うとともに、分割アップロード適切な時間帯選定が肝要です。


2. Resume(再開)機能の活用

2.1 Resume機能とは

転送が中断された位置から再開できる機能。FTPサーバーが「REST」「APPE」コマンドをサポートする必要があります。

2.2 対応クライアント例

  • FileZilla: 自動的に既存ファイルサイズを検出して再開
  • WinSCP: 「転送設定」でResumeを有効化
  • Cyberduck: 一部バージョンで再開対応だが、安定度はFileZillaに軍配

2.3 設定方法(FileZilla例)

  1. [編集] → [設定] → [転送] → [転送モード] で「File exists action: Resume」
  2. [タイムアウト] を長め(120秒など)に設定
  3. 大容量ファイルをアップロード → 中断後再接続すると再開ダイアログが表示される

3. タイムアウト設定と同時転送数

  • タイムアウト延長:デフォルト30秒→120~300秒にすると、大容量送信中の一時的ネットワーク遅延に耐えやすい。
  • 同時転送数:共用サーバーでは「同時接続数制限」があるため、2~3程度に抑えることで切断頻度が下がる。
  • キュー管理:キューに大量ファイルを登録せず、数十ファイルずつ実行すると安定。

4. 分割アップロードの手法

4.1 圧縮&分割ツール

  • 7‑Zip (Windows):7z a -v200m archive.7z folder/ で200MBずつ分割
  • WinRAR:分割設定を「ボリュームサイズ 200MB」等に指定
  • tar + split (Linux/Mac):tar cz folder | split -b 200m - archive.tar.gz.part

4.2 サーバー側での結合・解凍

  • SSH利用可: cat archive.7z.* > archive.7z && 7z x archive.7z
  • 共用パネル解凍機能: コントロールパネルの「ファイルマネージャ」で一括解凍
  • 注意: パーミッションやディレクトリパスは予め確認

5. 圧縮&サーバー側解凍のポイント

  • ファイル属性保持:ZIPや7zの場合、Linuxのパーミッション情報は失われる。必要に応じて解凍後にchmod設定を行う。
  • 解凍タイミング:アップロード直後に解凍するとサーバー負荷が高まる場合があるため、アクセスが少ない深夜帯に処理すると安全。
  • ログ出力: 解凍コマンドが可能な場合、-yオプションやログ出力先を指定し、エラー発生時に原因を追いやすくする。

6. 転送に適した時間帯の選定

  • 回線混雑:平日昼間は自宅/オフィス回線が混みやすく、大容量ファイルが遅延しやすい。
  • 推奨時間帯: 深夜(0~5時)や早朝(5~8時)、土日祝の昼間以外の時間帯
  • スケジュール実行: Windowsタスクスケジューラやcronで深夜自動転送を組むと安定性UP

7. 自動化スクリプトで定期転送

bash
# example_sync.sh (LinuxサーバーまたはWSL用)
#!/bin/bash
HOST="ftp.example.com"
USER="username"
PASS="password"
REMOTE_DIR="/backup/"
LOCAL_DIR="/mnt/c/backup/"
lftp -e "
set ftp:ssl-allow yes
set net:max-retries 3
set net:timeout 300
mirror --reverse --only-newer --parallel=2 $LOCAL_DIR $REMOTE_DIR
bye
" -u $USER,$PASS $HOST
  • lftpmirror --reverse でローカル→リモート同期。
  • --only-newer --parallel=2 で再転送と並列数を制御。

Windowsでは同様にWinSCP.comのスクリプト機能を利用し、タスクスケジューラで深夜実行を設定可能。


8. 各FTPクライアントでの設定例

機能FileZillaWinSCPCyberduck
Resume機能「File exists action: Resume」設定「転送」→「ファイル存在時の動作:続行」再開対応度にやや差異あり
タイムアウト設定→接続→タイムアウト(秒数を延長)環境設定→接続→再接続タイムアウトPreferences→Connection
同時転送数設定→転送→同時転送数転送→同時転送数Preferences→Transfers
分割再結合外部ツール利用同上同上

9. まとめ

  1. Resume機能を活用し、途中切断後も再開できるFTPクライアントを選定する。
  2. タイムアウト延長 & 同時転送数の抑制 で安定性向上。
  3. 分割アップロードサーバー側解凍で1ファイルあたりの転送リスクを低減。
  4. 深夜帯・早朝の時間帯に転送を行うことで回線混雑を避ける。
  5. スクリプト自動化で定期バックアップ・ミラーリングを実現し、手動作業を削減。

これらを組み合わせることで、共用レンタルサーバー環境でも大容量ファイル転送が快適かつ安全に行えます。ぜひ、上記テクニックを試してみてください。


参考リンク

免責事項
本記事の内容は執筆時点の情報をもとにしています。環境やソフトウェアのバージョンにより手順や画面構成が異なる場合がありますので、必ず自己責任でご利用ください。

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